第43章 彼女の手を引っ張り上げる

しばらくしてようやく状況を理解した市川詩織は、怒りで目元を真っ赤にし、橘結衣に平手打ちを食らわせようと手を振り上げた。

「このクズ……!」

だが、その手が橘結衣の頬に届く前に、橘結衣ががっちりと手首を押さえ込む。

「離してよ!」

市川詩織は、強く握られた手首を見て癇癪まじりに叫んだ。

「自分で振りほどけないの?」橘結衣が淡々と言う。

市川詩織は怒りが爆発しそうな顔で、必死に腕をねじりながら怒鳴った。

「山口愛実、安田美波! なにボーッとしてんの? バカなの!?」

山口愛実がはっとして、橘結衣へ詰め寄る。

――近づいた、その瞬間。

橘結衣の足が鋭く走り、山口愛実の腹へ叩き込...

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